元ブラック企業社員のヤスです。
ブラック企業と聞くと、嫌なイメージしか湧かないと思います。
実際に嫌な場所です(笑)
あの時ほど大変だった時期はないでしょう。
ただ、私の場合は、嫌な思いだけではありませんでした。
あの経験があったからこそ、今の自分があるとはっきり言えます。
ブラック企業って、駄目な点ばかり取り沙汰されますが、駄目な点だけではないです。
今回は、ブラック企業のメリットに焦点を当ててみます。
ブラック企業の特徴
まずは、ブラック企業がどんな場所か、それをあなたに知ってもらいたいと思います。
ブラック企業勤務の人は、改めてブラック企業の特徴を把握してください。
私の経験をベースにブラック企業の特徴を挙げていきます。
ブラック企業で味わった面白エピソードも添えておきます(笑)
長時間労働
第一に挙げられるのが長時間労働ではないでしょうか。
通常の企業なら、一日の労働時間は8時間、残業は多くても月40時間程度だと思います。
私がブラック企業で働いていたときは、月100時間の残業なんて当たり前で、2ヶ月休み無しの毎日終電帰りの時もありました(月200時間以上の残業)。
それ以外にも、当たり前のように休日出勤をするので、ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始も禄に休めませんでした。
加えて、私の場合、通勤時間が往復4時間弱だったため、かなりきつかったのを覚えています。
この頃の私の発言の一つがこれ。
「休まずに仕事すると、鉛筆の芯のように精神が研ぎ澄まされて、仕事がガンガン進むよね!」
今思うと多少気が狂っていましたね(笑)
ちなみに、残業代は、36協定で決められた分しか出ませんでした(60時間だったかな?)
仕事の負荷・責任が重い
ブラック企業は、社内の新陳代謝が非常に良いです。
要するに、社員の入れ替わりが激しいということです。
労働力不足で新たに人材を雇用しているのに、まるで交代するかのように、新入社員が配属されると同時に別の社員が退職していきます。
単純に1対1で交代していくのなら、まだ良いのかもしれませんが、退職していく社員の方が多いため、労働力が減っていく一方でした。
労働力不足が慢性化している状態なので、社員一人ひとりの負荷が非常に高いです。
とてもじゃないが、一人でやるような作業量ではない量の仕事が降ってきます。
さらに、スキルのある社員から辞めていくので、新人でも難易度の高い仕事をさせられます。
まだ、右も左も分からない状態で、難易度の高い仕事をさせられるので、精神に掛かる負荷が半端じゃないです。
裁量の大きい仕事がしたいと言っても、これは異常でしたね。
助けが借りにくい
社員一人ひとりの負荷が高い状態なので、みんな余裕がない状態です。
そんな状態なので、困って助けを借りようと思っても、上司が助けてくれないことがあります。
特にその企業でのキャリアが長くなるほど、助けてくれる人が減ってきます(笑)
結局、問題が起きても自分でどうにかしないといけません。
パワハラが酷い
ブラック企業は無法地帯です。
パワハラなんて当たり前のように行われていました。
一日一回以上は、どこかで怒鳴り声が聞こえていましたね(笑)
コンプライアンスなんて存在しないのです。
労働基準監督所の監査が何回か入っていたようですが、結局何も変わっていなかったです。
会社が良くしようとする気がないのです。
なぜなら、副社長がパワハラする会社だったからです(笑)
これは、実際に副社長に嫌みを言われた人から聞いた話です。
1階に売店があるのですが、残業前にそこでパンを買っていた人がいて、副社長が帰り際にそこを通ったときに、
「パン買う金があるなら、もっと給料減らしていいな!」
と言って帰って行ったという逸話があります。
おいおい、副社長が言うことかよ…と驚きましたよ。
ブラック企業のメリット
ブラック企業の悪い点を述べてきましたが、最初に言った通り、ブラック企業にはメリットもあります。
ここでは、そのメリットに注目してみます。
習得時間を減らせる
ブラック企業の特徴でも述べたとおり、ブラック企業は労働時間がとにかく長いです。
ですが、別の言い方をすれば、それだけ仕事に携われるということです。
何かを習得するには、1万時間が必要だと言われています。
残業、休日出勤無しの会社で1万時間を達成するには、
約5年必要になります。
それがブラック企業ならどの程度の期間になるでしょうか?
過酷な環境を想定して、以下の条件で計算してみました。
年間労働日数:300日(休日65日)
1日の労働時間:14時間(残業6時間)
14H/日 × 300日 × 2.5年 = 10,500H
通常、5年かかるところをその半分の期間である2.5年で達成できます。
早くスキルをつけたい!と言う人は、ブラック企業で働くと一気にスキルをつけられるでしょう。
裁量の大きい仕事ができる
ブラック企業は、退職率が半端じゃなく、出来る人からいなくなるため、新人だろうと大きな仕事を任される可能性があります。
上司も余裕がなく、部下の面倒を見れない場合があるので、仕事は自分の責任で進めることが多いです。
責任は重いのですが、その分自分で好きに進められるので、かなり裁量の大きい仕事ができます。
ただ、責任が重いので、かなり注意して仕事を進めないと、あとで大変なことになります(私も一度大変なことになった経験があります)。
解決能力がつく
ブラック企業は、社員全員に余裕がないため、助けを借りにくい環境にあります。
そのため、自分でどうにかしないといけない状況が多いです。
その状況では、問題に対して自分で考え、解決策を準備し、それを実行し、結果を考察し、新たな問題に活かすというPDCAサイクルを回すことが身につきますし、解決能力も向上します。
自分で責任を持つというのは、自分のスキルを向上させるための大きな要因でしょう。
この解決能力やPDCAサイクルの考え方は、どの職業でも役に立つジェネラルなスキルなので、ブラック企業で身につけて、転職先で活かすということも可能でしょう。
営業力がつく
ブラック企業でずっと働いてきて、役職がついている方は、かなり癖の強い人が多いです。
怒鳴るなんて平気でやってきたりします。
自分の部署だけでなく、他部署でもそうなので、上手に動かないと自分の部署だけでなく他所の部署からも協力が得られなくなります。
この上手に動くために社内営業力が必要になります。
私の場合だと、製造部の協力を得るために、自分が設計した機械が組立てられている時に工場に赴き、設計に不備がないか、何か意見がないかを聞きに行きます。
そこで情報を収集をし、設計に悪い点、改善点があれば、それを次の機械で適用することで、製造部からきちんと仕事をしてくれていると認識されて、何かあった時でも協力してくれるようになります。
また、情報収集と同時に雑談をすることで仲を深めることも重要でした。
やはり、人間ですから情がある人には優しく対応してくれます。
このように立ち回らないと、ブラック企業では生き残れません。
技術的なスキルだけでなく、営業力も身につけられます。
タフな精神が身につく
ブラック企業では、長時間労働、パワハラが横行しているので、心身ともにタフでないとやっていけません。
ブラック企業でこれらを経験すると、大抵のことでは動じないタフな精神を身につけることができます。
ブラック企業での経験を軸にすると、どの会社、どの環境も良く見えるため、転職してもやっていけるだろうという自信を身につけられます。
これは働く上でもとても有用です。
多少のトラブルで動じることもありませんし、何とか出来るだろうと考えることでストレスを溜め込むことが少なくなります。
また、ブラック企業で働く間に、自分なりの上手なストレス解消法を身につけていると思います。
上手なストレス解消法を身につけられないと、おそらく潰れると思います。
一度身につければ一生物のスキルになるので、強くなりたい人は修行の場としてブラック企業がお勧めです。
タフ+スキル=最強のソルジャーへ
ブラック企業で身につけられることは、多様なスキルと精神的なタフさです。
これらを普通に働くよりも短い期間で身につけられ、且つホワイト企業で働く社員よりも仕事が出来るようになります。
ホワイト企業の社員は、まったり働いているため、大抵スキルがないです。
それに比べ、ブラック企業では何でもやらされるし、負荷・責任の大きい仕事ができるので、半端なく成長出来ます。
精神的なタフさと多様なスキルがあれば、会社員としてやっていくスキルがガッツリ身につきます。
どんな人にお勧めか?
ブラック企業には、以下の人がお勧めです。
- ブラック企業を踏み台に成長して転職を狙う人
- 未経験で転職出来ないから経験が欲しい人
- 裁量の大きい仕事をしたい人
特に未経験職種にチャレンジしたいけど、どこも雇ってくれないと言う人は、ブラック企業がお勧めです。
ブラック企業での就労を一時的に考えていて、スキルの向上を目的としている人なら、辛いブラック企業勤務でもやっていけると思います。